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『マスコミの大罪』


日本人へ リーダー篇 (文春新書)

日本人へ リーダー篇 (文春新書)

  • 作者: 塩野 七生
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2010/05/19
  • メディア: 新書



先日何気なくニュース番組を見てた時、解説者の一言にピクッと反応した。
いや、別に、解説者がエッチなことを言ったから反応したのではない。
マジメに反応したのだ。
本当だって。
その時解説者は4月から上がる消費税について、
『財政再建のための消費税アップ』という趣旨の発言をしたのだ。
この発言はいただけない。
政治家の詭弁を追認するものであるからだ。

もちろん、今回の消費税アップが財政健全化への第一歩として行われることは真実である。
そんなことは百も承知だ。
だからその意味合いにおいて解説者は決して間違った事を言った訳ではない。
だが、しかし、である。
思い出してほしい。
消費税を上げる論議を始めるとき、政治家達は『税と社会保障の一体改革』と言っていたのだ。
ならば増税と同時にこの国の社会保障の形を提示してもらわなければ筋が通らない。
なのに彼らは消費税増税のスケジュールだけ決めて、社会保障については知らぬ振りだ。
どこかで細々と話し合われているのかもしれないが、形として全然見えてこない。
一体改革といった以上は、あくまで同時に提示してもらわねば。
正式に消費税アップが決定した今に至っても、
社会保障の目に見える変化は生活保護の後退という残念なニュースだけだ。
 (以前書いたが、消費増税を含めて五段階に減額される。
  これは特に単身世帯の受給者層に大きな負担になるだろう。)
これはよく言えば政治家の詭弁、悪く言えば詐欺行為以外の何物でもない。
こういうことを、マスコミには見逃してほしくないのだ。
政治家がきちんと、自らの発言を履行するように監視と追及を忘れてほしくないのだ。

仮に政治家達が、『財政再建のために消費税をアップします!』と言ったとしたら、
なぜこんな財政状況にしてしまったのか、
毎年毎年税収の二倍くらいの予算を組んでて何とも思わなかったのか、
等々、責任論が問われていたはずだ。
その責任は追及していけば政治家だけでなく、官僚にまで及ぶ。
当然そのツケは、政治家・官僚の待遇見直しと人員削減となって彼らに帰ってくる。
それらが増税の必須条件になっていただろう。
それを彼らは先述の『詭弁』によって回避しているのだ。
責任をはぐらかして、甘い汁を吸い続けているのだ。
こういった詭弁をしっかりと追及せず、追認さえしているマスコミの責任は、
『重い』と言わざるを得ない。


民主主義社会においてジャーナリズム(マスコミ ⊇ ジャーナリズム)が特別な意味を持つのは、
 (例えばニュースソースの秘匿は公に認められた彼らの権利だ)
政府・政治家・官僚等、権力の不正と怠慢を暴くことによって、追及することによって、
社会が正道を外さないように監視する役割を持つからだ。
そうすることによってジャーナリズムは国民の側に立つ存在になりうるのだ。

だが、現状、本当にジャーナリズムが国民の側に立っているのか、
疑問に思わざるを得ないのも事実だ。
過去の例を挙げると、
『日米安産保障条約』がいつの間にか『日米同盟』と呼び方が変わったこともそうだ。
英語ではどうか知らないが、
『安全保障条約』と『同盟』という二つの日本語の間には雲泥の違いがある。
故意に訳を変えることで同盟を既成事実化して国民の目を欺こうと彼らが考えたのなら、
それは権力の横暴であり、暴走だ。
これを放置し、または追従することによって権力の欺瞞を看過したマスコミを、
僕達はどう考えればいいのだろう。
もう一つ例を挙げる。
福島の原発事故の際、ある時からマスコミは一斉に『原発は安全だ』との報道を繰り返し始めた。
後になってみれば『フクシマ』は史上最悪の事故であり、決して安全な状況とはいえなかった。
周辺住民はもちろんのこと、
かなり広範囲の方々に一刻も早い非難を求めなければならないような状態であった。
 (事実アメリカは在日本の自国民に対して半径50キロ以上離れるよう勧告した。)
政府からのお達しがあったからなのか?
それに従うことがマスコミとして正しい判断だったろうか。
少なくとも僕はマスコミに対する信頼が崩壊してしまった。
パニックが起きるのを防ぎたかった?
ことはガソリンが無くなるとか、トイレットペーパーが無くなるといった瑣末な問題ではないのだ。
自分、あるいは大切な人たちの命に関わる問題なのだ。
この国の国民には、命の為にパニックになる権利すらないのかい?


ジャーナリズムが本来の機能を果たさないと、民主主義は容易に暴走する。
民主主義の暴走は、我々は『太平洋戦争』という形で経験したのではなかったか。
マスコミには猛省を促したい。





今週の一曲
The Alan Parsons Project 『Ammonia Avenue』


Ammonia Avenue

Ammonia Avenue

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Arista
  • 発売日: 2008/09/19
  • メディア: CD



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